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【技術論2】NTTコミュニケーションズ 第3回「実践マーケティング」

講師:NTTコミュニケーションズ株式会社 小山幸子氏

第3回講師は、中央大学(多摩)の先輩である小山幸子さんです。1995年に入社し、営業、法律、企画、開発といろいろな仕事に携わってきた方です。(ネットビジネス事業部 IPサービス部)

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■「実践マーケティング」

NTTコミュニケーションズの3回目は「実践マーケティング」です。
講義では、次の3点について話していただきました。今回は、NTTコミュニケーションズの個人向けサービス「cocoaギガストレージ」を例に小山さんの経験を基に実践的な話をして頂きました。
 1.マーケティングとは
 2.市場分析、競合サービスの状況
 3.定量調査(アンケートの設計)、定性調査(グループインタビュー)

1.マーケティングとは

 はじめに「マーケティングとは何なのか?」について話して頂きました。
マーケティングとは、ユーザのニーズを把握しサービスを計画して実行することだそうです。

企業の宣伝担当部門がマーケティング部門と名乗ることが多かったため、ニーズを分析し宣伝・販促活動する事をマーケティングと考える、誤解が多いそうです。みなさんはどうだったのでしょう?

マーケティングの定義は様々あり、国際的に最も広く知られているのは、フィリップ・コトラーの定義(下記)だそうです。かなり広い意味を持っていますね!「帰るまでが遠足」のように「ユーザのニーズを満たすまでがマーケティング」といった感じですかね。
「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス」
 
 次に、『企業にとってニーズを把握するべきユーザは大きく分けると「個人」「法人」があり、それぞれの特性に合わせた把握方法が必要なこと』について、さらに『小山さんが担当している「個人」のお客様へのニーズを把握するには、ライフスタイルの分析、技術トレンドの分析、ユーザリテラシの分析、またその様々な範囲での分析(マクロの視点、ミクロの視点)が重要なこと』について、実務を基にお話していただきました。

2つの興味深い言葉が出てきました。2つとも常に忘れてはならない言葉だと思います。
ⅰ.いいサービスが売れるわけではない。売れたサービスがいいサービス。
  →「多くの人が買い、企業が利益を得て、サービスに投資し、より良いサービスになり、多くの人が買う」というサイクルが必要だそうです。
    ユーザの要求を満たす商品ではなく、仕組みが重要なのですね。CRMやWeb2.0の原則の1つ「永遠のベータ版」も意味は似ていますね。

ⅱ.サービスはとんがりすぎてもダメ、汎用すぎてもダメ。(先進性&共感)
  →よく言うところの「(時代の)一歩先を行く」ですね。今では、この一歩がいろんな方向に踏み出されているので、サービス提供が難しいのだと思います。現状に合う言葉はどんな言葉でしょうか?

続いて、実際のマーケティング調査手法(市場分析、定量調査、定性調査)について、オンラインストレージ市場における「cocoaギガストレージ」サービスを例に話して頂きました。
「cocoaギガストレージ」は、インターネット上にファイルや写真を保存したり、友達に送信したりできるサービスです。 詳しくはこちら → http://cocoa.ntt.com


2.市場分析、競合サービスの状況

 市場分析、そこで重要となる競合サービスの状況の捉え方について、実際に現状取り組んでいる内容を基に、以下のことを話して頂きました。

 ・オンラインストレージサービスの分類
 ・料金体系別サービスの参入事業者変革
 ・市場環境、インフラ、サービスの変革
 ・オンラインストレージの市場規模
 ・オンラインストレージのシェア
 ・サービス比較
 ・競合サービスの状況
 ・市場分析結果
 ・サービスの企画・実施(企業秘密)
 
「競合サービスに打ち勝つための情報を集め、様々な図や表を駆使して、いろんな視点で分析し、戦略を立て、サービスを実施する」流れを実際の取り組みから知ることができ、大変参考になったのではないでしょうか。
この手法は、市場を分析するだけでなく、他人に自分が考え作ったものが必要なものであることを伝えるのに大変役に立ちます。これから研究室に配属される方は、研究を発表するときにも利用できるので、そのときもう一度思い出すと良いと思います。


3.定量調査(アンケートの設計)、定性調査(グループインタビュー)

 市場の分析に続いて、ユーザに対する調査(定量調査・定性調査)について話して頂きました。
 
 定量調査については、Webアンケートの設計を例に以下の内容について話して頂きました。
 ・調査概要の設計例
 ・調査表の構成
 ・調査項目について
 ・調査結果からみる課題
 ・課題に向けての取り組み

 定性調査については、グループインタビューを例に以下の内容について話して頂きました。
 ・インタビュー設計
 ・イタビューの実施

 ユーザに対する調査の方法・結果の分析において「人からいかに求めるデータを取得するか」「データからいかに意味ある情報を抽出するか」といったノウハウが必要で、このノウハウはユーザを調査するだけでなく、自分が考え作ったものが実際に狙っていた評価を得られるという実証に大変役立ちます。
市場調査の手法でニーズを示して、ユーザ調査のノウハウで実証できれば、自分のアイデアの魅力を他人に伝えやすくなると思います。


(2008.6.17 担当北川)

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