産業キャリア教育プログラム~授業紹介~

トップ> 産業キャリア教育プログラム~授業紹介~> 【技術論1】日本IBM 第4回「PMと技術系キャリア」

産業キャリア教育プログラム~授業紹介~

【技術論1】日本IBM 第4回「PMと技術系キャリア」

講師:日本IBM株式会社 阿部 仁美氏

日本IBM最後の講義は、阿部仁美さんによるプロジェクトマネジメントと技術系キャリアについてのお話です。

20080618_1.jpg


■プロジェクトとは

プロジェクトというとどんなものを思い浮かべるか?様々な例をもとにプロジェクトについて紹介していただきました。
例としては、アポロ計画などの壮大なプロジェクトから建築や新製品開発など。成功するプロジェクトもあれば、失敗する例もあります。

IBMの製品開発プロジェクトとしては例として:
 ・消費者向け:ホームページビルダー
 ・企業向け:IBM WebSphere Portal
などが挙げられます。
IBMでは一般消費者向けの製品開発プロジェクトから、法人向けの製品開発やシステム開発サービスのプロジェクトなど、様々なプロジェクトを行っています。
「プロジェクト」は特別なものではなく、人生に役立つ考え方です。例えば、大学入試、文化祭、卒論、就職活動、結婚等さまざまなものがパーソナル・プロジェクトとして定義することができます。ひとりひとり、自分の中で管理するべきプロジェクトは沢山あるのです。


■プロジェクト

定義:独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務


■プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントとは、個々人を組織化して、作業を順序良く行うことにより、
 1.決められた品質以上の成果物を
 2.決められた予算内で
 3.決められた期間内で
作り上げる技術


■プロジェクト・マネジャー

プロジェクトマネジメントを行う最終責任者で、外部との正式なコンタクト・ポイント

更に、プロジェクトには、国家(社会)レベル、組織・企業レベル、個人レベル、など、様々なレベルのものがあります。企業レベルのものとして、例えば製造業においては:製品開発のスピードアップと収益向上が鍵であり、テクノロジーの進化や商品の複雑化そして競争の激化が同時進行する事業環境の中、企業目標を達成するには、製品開発マネジメントとプロジェクトマネジメントが重要である。


■新入社員の夢

IBMの今年の新入社員の「夢」を「XX年後」という順番で紹介いただきました。現在学生である立場から、数年後自分が就職するときに考えることをイメージすることで、自分の将来やりたいことを考える良い刺激になりました。


■技術系キャリア ~一人の女性として~

阿部さん御自身のキャリアについてお話しいただきました。

20080618_2.jpg

入社後、エンジニア時代は、ただ一生懸命で無我夢中、時間を忘れてコーディングやデバックにのめりこんだそうです。その中で、最新の技術に触れる楽しさやもの作りの楽しさを感じ、技術者としての基礎固めをおこなった時期ということです。技術文献を読んだり、論文にもチャレンジ。またパーソナルには、自分の為だけに時間を使える独身時代だったそうです。

PMの卵時代には、チームのリード役として、進捗管理をしたり、技術的判断をおこなったりする中で、楽しいながらも、チームをリードすることの難しさ(スキルレベル、パフォーマンス、年齢、性格の違うメンバーをまとめること)を感じ、また判断や決定の責任の重さも感じたそうです。そして、やはりリード役になると、自分のことよりチームメンバーのことに時間も労力も集中することになるため、常にあふれる仕事量、足りない時間との葛藤があったということです。ただ、そうした中でも、情報は常に集まってくるし、技術力が蓄積されてくる実感があり、大変な中にも技術面での自信がすこしずつついてきました。この時代は、「押しも押されぬ中堅」を目指していた頃、ということです。また、パーソナルには、結婚そして出産を迎え、仕事と育児の両立を始めた時期だそうです。

続くPM時代は、ビジネスに責任を持つようになり更に責任も重くなりましたが、限りある資源の下でバランスを取ってQCDを達成するチャレンジでした。ソフトウェア製品開発自体、とても遣り甲斐のある楽しい業務でしたが、プロジェクトマネジメントにおいては、人脈と先人の知恵そして人間力の大切さを感じましたし、同時に後進の育成も考え始めました。パーソナルには、この時期、仕事と育児の両立での奮闘最盛期だったということです。
PMの仕事の魅力、やはり一番は「プロジェクト完了時の達成感」「自分自身が成長できる実感」だそうです。

現在は、研究開発組織の管理部門でオペレーションズ担当部長の仕事をされているそうです。今も現在進行形で、チャレンジされているということですが、組織のオペレーションは、企業の永遠のテーマでもあり、これまでとは抑え所が異なりますが、これもまた遣り甲斐あふれるもミッションだそうです。


■男性社員からみた上司

さらに、男性社員からみた上司ということで、同じ部署の山本さんからみた阿部さんの姿についてお話いただきましたので少しその内容をご紹介します。
「実は、私のこれまでの上司の役半分が女性ですので、特に女性だからといって特別に意識することは本当にありません。阿部さんは、お子さんがいらっしゃる中で、仕事に対する姿勢やプライドを非常に感じ、バイタリティとリーダーシップを感じる人です。IBMでは女性・男性をあまり意識することなく仕事をしていますが、男女関係なく、結果をだせるような環境もさらに整ってきていると思います。男女差より、個人差、能力差だと思います。」


■女性が仕事をする魅力

最後に女性が仕事をする魅力について、阿部さんからお話をいただきました。

・真剣勝負の世界で戦える心地よいプレッシャーと緊張感と達成感

これが何よりだそうです。

(2008.6.19 担当I)

レポート一覧へ

このページの先頭へ ▲