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  ■調剤FMEAの課題
1.影響度の計算
 調剤FMEAに組み込まれている「影響」には「間違った薬が患者に渡る」という結果が多く含まれている。しかし、この影響度を考える場合には大きく2つの事柄に左右されることがわかる。一つには「どのような薬を間違えたのか」がある。毒薬を間違えたのか、あるいは糖尿病薬、向精神薬、抗がん剤を間違えたのかによって影響が変わってしまう。つまり、間違えた薬の種類によって影響度が変わってしまうので一律にすることは難しい。もう一つには「どのような患者に薬が渡ったのか」である。アレルギーをもつ患者なのか、疾患をもっている患者なのか、高齢者なのか、同じ薬を間違っても患者によって影響が異なってしまうのが現状である。本研究では今回、影響度の計算に関して、調剤薬局に訪れる患者の割合に起因した幾つかの確率計算を考えたが、必ずしも確率で判断することが妥当でないことがわかった。そこで最終的には調剤FMEAにおいて「間違った薬が患者に渡る」という場合の影響度はすべて最高レベルの5であるとした。とにかく薬を間違えてしまったら患者の生命に係わるという考え方からくるアプローチである。しかしながら、このアプローチが最適であるとは限らない。よって、薬の種類と患者の両方を考慮して影響度を決める方法論を考えることが今後の大きな課題の一つといえる。

2.調剤FMEAの適用と改善
 FMEAを実施し、重要なエラーに対して対策を講じることによって最終的に薬局の調剤事故が減少することが大切である。本研究で開発した調剤FMEAがこのために 役立つかどうかは、実際の調剤薬局で活用していただき、その効果を把握する必要がある。その際、今回用意した約400のエラーに加えて新たな エラーを追加したり、新たな標準作業フローを追加することも必要になると考えられる。さらには、対策案も数百、数千個に増やしてデータベース化をしなければならない。

3.事故防止における未然防止活動・FMEAの大切さの理解
 本研究で行なったアンケート調査において9割の薬局がFMEAを 知らなかった。調剤薬局を含め医療機関では常に患者の生命を左右する仕事を行なっており、小さなミスが重大な事故に繋がる可能性は決して低くないといえる。だからこそFMEAの強みを活かして、一見小さなミスにみえても重大であるようなミスを知り、対策を講じて事故を減らしていくことが重要といえる。 多くの調剤薬局に対して調剤ミスに対する未然防止の取り組みの必要性、その中におけるFMEAの有効性について広く知っていただく取り組みも必要である。


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