鎌倉研究室に入ったきっかけ

実は、私と鎌倉先生との出会い(?)は統計とは殆ど関係ないところにあります。先生も多分覚えていらっしゃらないと思いますが、学部2年時のテクニカルプレゼンテーションという統計とは殆ど関係のない授業で、自分のクラスを鎌倉先生が担当され、プレゼンだけでなくPCの知識など、色々と教えていただいたのが最初の出会いだったと記憶しています。

(今では私もですが)、当時から鎌倉先生はMacフリークで、私はWindowsユーザという水と油の関係でした(当時はまだBootCampなんて便利なものはなかったので)。ちょうどその時期に比較的安価なMacが発売されて、どれそんなに良いのなら使ってみようかと購入し、鎌倉先生から使い方を色々と教わったのが始まりだったように思います。その後、先生からのお声がけで、研究室の並列計算環境構築のお手伝いをしまして、研究室に入り浸るようになりました。鎌倉研を意識しだしたのは、それぐらいの時期でしたでしょうか。

実を言うと(ここだけの話ですが)、研究室選択の時は鎌倉研究室以外にも2つの研究室で迷ったのを覚えています。恥ずかしながら割りと最後の方まで迷いまして、最終的に鎌倉先生の「世界がアッというような研究をやってみようじゃないか」という言葉がキッカケで、鎌倉研に入るのを決めたのをよく覚えています。

今では常々この決断をして良かったなぁと思っています。

研究内容について

私は、ここ数年の研究室のメインテーマである、センシングデータの統計的モデリングとその応用を研究対象にしています。鎌倉研究室のテーマは理論から応用まで大変幅広く、私は後者の方です。特に修士、博士課程では、映像データを用いた歩容解析・歩容認証に関する研究をメインに勉強させていただきました。

あまり研究の深い話をしても面白く無いと思いますので、研究に関する思い出話を一つ披露できればと思います。

この研究で今でも思い出深いのは修士1年の時の「麻疹事件」です。

(今ではどうだか分かりませんが)当時研究室では、学会発表見切り発車(研究が完成していないまま学会発表申し込みをし、発表当日までに頑張って仕上げること)が良くあり、私も研究があまり進んでないまま学会発表申し込みをすることになりました。

大方の予想通り、研究は遅々として進まず、これはいよいよイカンかなと思った時に、運良く(?)大学で麻疹が流行しまして、予防接種を受けてない人には登校禁止措置がとられました。幸か不幸か私と鎌倉先生は予防接種済みで、結果的にマンツーマンのゼミを一週間付きっきりでして頂けるという大変幸運な機会に恵まれました。

このお陰で研究は大きく発展し、また同時に統計的なモデリングの技術や考え方、研究の面白さを先生から数多く学ぶことが出来たと思います。恐らくこの経験がなければ、研究者の道には進まなかったでしょう。

歩容解析以外にも、企業との共同研究で、加速度センサを用いた行動認識や、ドップラーセンサを用いた見守りシステムの構築、室内版位置推定システムの構築など、数多くの最先端のテーマに関わることが出来ました。このテーマは今でも私のメインテーマとして、研究室を離れた今でも、先生のご指導をいただきながら、進めさせていただいています。

鎌倉研究室を希望される皆様へ

他大に移動して頓に感じることですが、鎌倉研に限らず中大は学生への研究サポート体制が大変充実していると思います(大学院生の海外出張旅費を出してくれるところはそうそうないでしょう)。恐らく研究の環境において不自由を感じることは殆ど無いのでは無いでしょうか。

研究室について、他を知らないので比較のしようがないですが、鎌倉先生はかなり面倒見の良い先生にあたると思います。上記のゼミのエピソードは勿論ですが、研究の論理展開に関する議論から、国際学会発表の英文の修正まで、とても根気よく対応して下さいます。教員の立場になって改めて感じますが、当たり前のようで中々難しいことです。一方で、我々はそれに甘えすぎると、成長できないというのもあると思います。修士を終えてそのまま就職するなら良いかもしれません。しかし研究者を目指すのなら、これに甘えず、自分からアイディアを出し、先生を捕まえてディスカッションの時間をもらうぐらいの気概が必要だと思います(これはどっちかというと一般論かな?)。

研究室の研究内容も前述のとおり、企業との共同研究を交えて、最先端かつ現実的なテーマを取り扱っていると思います。実学としての統計学を肌で痛感できるのではないでしょうか。理論のみに収まらず、現実と向き合ったテーマが常に存在しており、また誰も扱ったことのないデータに触れることができるというのは、研究においてはとてつもない強みです。

百聞は一見にしかず、少しでも興味を持たれたなら、気軽に研究室のドアを叩いてみることをおすすめします。